もしも僕だったら
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「――…じゃあ、頼むぞ」
「はい、有難うございました」
軽く会釈し、職員室を出た。
この学校に転校してくる生徒が、俺のクラスな為、学級委員長として、放課後校内を案内をするよう、担任に頼まれた。
勿論引き受ける。
俺は優等生なんだ。
「裕也君、今日お昼ご飯一緒に食べよ?」
教室に着くと、後ろから声を掛けられた。
振り返ると、セミロングの髪をふわりと揺らして首を傾げた彼女の美羽(ミワ)がいた。
自然と頬が緩む。
「うん、もちろんだよ」
断る理由が無い。
「良かった! お弁当持ってきてる?」
「んーん。後で買う予定」
首を振って否定すると、美羽は何かを期待するように目を大きく開いた。
でも一瞬だけで、すぐに目を伏せてしまった。その耳は赤い。