もしも僕だったら
休み時間になると、クラスの女子がイケメン転校生に声を掛けようとしているのか、チラチラと様子を伺っている。
そんな女子を気にもせず、後ろの席のイケメン君は真面目に読書をしている俺の髪を引っ張って邪魔をしてきた。
「ゴミついてるよ」
なんだ、ただの親切か。
「……というのは冗談で、お前、裕也だよな?」
じゃあやっぱり邪魔したのか、と言いたい気持ちを抑えて頷いた。
「あぁ、そうだけど…?」
なんで知ってるの、とでも言いたそうな雰囲気を醸し出してやる。
「いや、俺……矢野俊斗だけど、覚えてないか…?」
なんかもう今にでも泣きそうなほど、悲しい顔をしてくるもんだから、罪悪感がわいてきた。
…というわけで、そろそろ言ってやるか。
「冗談だよ。久しぶり、俊斗。また会えて嬉しいよ」