もしも僕だったら
「なんだ、良かったー! 覚えてて」
俊斗は脱力したように、身体を机に俯せた。
「なんでとぼけてたんだよー」
「だってお前、昔よりイケメンになってるし」
「はあ? 意味わからん」
呆れたように言うけれど、その目は相も変わらず優しかった。
「裕也は変わらないな」
「そうか? でも俺、身長伸びただろー」
立ち上がって腰に手を当て相手を見下ろす。
「ふは、確かに。あんなにチビだったのにな」
まぁ、成長期だし、
「俺だって成長するんだよ」
彼女だって居るしな。
あの時のチビな俺とは違うんだぜ! なんつって。
俊斗はそこんとこ、どうなんだろうか。
モテそうだし、流石に恋愛の一つや二つはしているか。
でも少し気になった。
「……なんだよ」
再び、椅子の背凭れを掴んで後ろを向いて座り、ガン見してたら不審がられたんで、俊斗の机に額を押し付けた。
「べーつに」
「ふーん……あ、あと、昔は"僕"って言ってたのに"俺"になってる!」
「そうだっけ」
俺は昔を思い出すように、静かに目を閉じた。