あの日の空

隣の君

チャイムが鳴り騒がしかった教室が一気に静まり返った。

みんな席に着いた。

隣は空を見上げてた男の人。

後ろの席は茜。

茜が近くでよかった。

仲のいい人が近くにいたら安心する。

なのになぜだろう。

ドキドキする。

私は横に座ってる彼を少し見た。

大きな瞳

黒い髪

シュとした横顔

なかなかのイケメンだった。

見すぎたのか彼がこっちを見た。

「何?」

「・・・。」

何事もなかったこのように前を向いた。

「あ!」

彼は小さな声を上げた。

「何?!」

驚いた私。

「空見上げてた子!」

「うん・・・。」

「覚えてる?」

ニコニコしながら言う彼。

胸がドキドキする。

「覚えてるよ?」

「おー!」

何に感動したのかはわからないけど嬉しそうだった。

先生が皆のことを知りたいというので

プロフィール、簡単な自己紹介プリントを配った。

木下 楓音

そう名前を書いた時だった。

「楓音・・・・」

「え?」

「カノンて曲知ってる?」

「カノン・・・?」

「ラ ラララ ラララ ラララララ~♪てやつ」

「あー・・・知ってる。」

「楓音て見たからカノンが出てきた」

ニコッとしながら言う彼。

「なんか詳しいね。」

「俺の家音楽一家みたいなとこだから、小さい頃からピアノとかやってるし。」

意外だった。

野球とかサッカーとかスポーツをしてる感じだった。

「そうなんだ。」

「そ、だから名前が拓斗。」

「何と関係あんの?」

「タクトて指揮棒とかのことを言うんだよ。」

「へー・・・・」

「音楽一家ぽい名前だろ。」

「うん。」

「そんだーけ。」

地味に顔を近づけて言った。

ドキドキする。

やばい。

顔が赤いのがバレてしまう。

私は急いで顔を下に向けた。

どうしよう。

多分・・・多分だけど・・・・

隣の彼に恋をしてしまったんだ。
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