オオカミ少年。

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「……いつまで怒ってんの?」


予想通り、帰宅途中も中田は怒ったまま。

たかが数十分で機嫌が直るほど簡単なやつじゃないってことは分かってたけど。


「いつまでも。」

ちょっとふざけているようにも見える。


シーンとした帰り道に堪えられなくなったあたしが先に声を出したのだった。

何て言おうか考えていると、中田は突然振り返って、何か言いたげだったけどそのまま前を向いた。


「何よ?」

「何でもない。」

「嘘つき。」

「今さらかよ。」

確かにそうだけど!

今までだってずっと嘘つきだったけど!


「だったら言えばいいでしょ!」

今度はあたしがムスッとする番。

お互い怒ってると冷静な話し合いなんて出来るわけないんだけど、怒らずにはいられない。


「何怒ってんの!」

2人で並んで歩きながら、前を見たまま喧嘩。


「…あっち。」

そう言って中田が指差したのは子供が何人かいる小さな公園。たまにそこで話して帰ることもあった。

そこで話そうということなんだろう。

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