オオカミ少年。
「あははっ、そんなに深刻そうな顔すんなよなー。好きでいるのは自由だろ?」
「うん、まぁ…」
「最初は席が隣でチャンスかなって思ったけど、俺が入る隙は全く無さそうだし。」
あたしも最初、多田くんが隣の席だと知って戸惑ったし、正直どう接していいのか分からなかった。
「いい機会だよ。」
そう言う多田くんは、なぜか中田を見て少しだけ笑って、あたしを見た。
「普通に話してくれてありがとな。」
「いやっ、あたしは別に…」
「平山ー、次お前だぞー」
担任があたしの名前を呼ぶ。
もうあたしの番か。
「行ってこいよ。中田があんなに祈ってくれてたんだし、隣の席だといいな。」
「…うんっ、ありがと」
こんなイケメンに好かれる要素なんて、あたしには一つもないのに。中田も多田くんも変だよね。
二人はどうしてあたしを好きになってくれたんだろう。
「平山っ、お前絶対30番引けよ!」
「無茶言わないでよ。」
「俺信じてるからな!」
なんて言ってニコッと笑うから、何となくまた隣の席になるような気がしてならない。