オオカミ少年。

「負けたんだ?」

「…まぁ。」

でも何だかんだ行かせてくれるところも、あのクラスメートなら想像できる。


「つーか、平山大丈夫?」

途端に中田は心配そうな顔になって、あたしのおでこを触って顔をしかめた。


「うわ、熱あるし!」

そっか、そうだった。あたし熱あるんだった。

あれ、何か思い出した途端に辛くなってきた。さっき熱のことなんて考えずに走っちゃったからなぁ。


「…わざわざ来てくれてありがと…あの、移しちゃうと悪いからさ…」

帰って、と言おうとしたんだけど、言葉にならなかった。これ以上喋るのも辛い。


「バカ、帰んねぇよ。」

急に男らしくなったなぁ、なんて考えてたら体が勝手に宙に浮いた。

「わっ…」


俗にいうお姫様だっこってやつ?

中田ってこんなこと出来るキャラなんだ。ほんと、恥ずかしいことと平気な顔でやっちゃうことのポイントが分かんない。

お姫様だっこなんて完全に恥ずかしいポイントでしょ。間違いなく。

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