オオカミ少年。
「バカ。中田のバカ。」
こうやって家に来ても、あたしの嫌がることを無理矢理するようなこともない。
何考えてんのかほんとに分かんない。
「ははっ、照れんなってー」
高校生男子が彼女の部屋に来て、何も思わないなんてことがあるんだろうか。
………あたしに魅力がないだけ?
もしくは中田に性欲がない?
「…ねぇ中田」
どっちなんだろう。
「中田ってさ、性欲ないの?」
なんて、ストレートに聞くような話じゃなかったな。なんか間違えたわ。
「………は?」
案の定、中田は再びポカーンとしてあたしを見ていて、驚いてる。
……今日のあたしダメだ。
なんか色々やっちゃった。
「ごめん、忘れて。」
熱があるせい。絶対そう。だからこんな変なことばっかり口走っちゃうんだよ。
「いや、無理。」
そりゃあ、そうだよね。
性欲ないの?って、そんなの高校生男子に聞くような内容じゃないし、この状況で聞くことでもない。