オオカミ少年。

「何だよ急に。ほんとに誘ってんの?」

「だから違うよバカ。」

「…生々しい話だな。」

確かに生々しいなぁ。

高校生カップルが彼女の部屋で性欲の話してるんだもん。ほんと生々しい。


「俺高校生だし、性欲の塊だけど。」

今度は開き直ったようにサラッとそう言い放って、あたしの手をギュッと握った。


「おい、そんなに引くなよ。」

「…いや、この状況で言われるとね…」

「さすがに熱で弱ってる彼女襲うほど飢えてねぇからな。」

「そ、よかった。」

「…平山が誘ってんなら別だけど。」

なんて言って、ニヤリと笑う。


誘った覚えはない。こんなに素直じゃないあたしが、自ら中田を誘うだなんて、一生無理。


「誘ってません。」

「そ、残念。」

残念なんだ。


―ギシッ…


ベッドの軋む音が静かな部屋に響いて、大きな影があたしに覆い被さる。

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