オオカミ少年。

「バーカ、冗談だって。」

なんて言って、ギリギリまで近づいていた体をパッと離した。


「言っただろ。弱ってる彼女襲うほど飢えてねぇの、俺は。」


ベッドに座ってる中田は、あたしをからかうように笑う。……むかつくなぁ。

中田は初めてじゃないのかもしれないけど、あたしは何もかも初めてで戸惑ってるのに。


「…バカ、最低。」

心臓が飛び出るんじゃないかってくらい緊張したのに。

「…冗談でこんなことしないでよ。」

冗談って。


「……半分本気だけど。」

「え?」

半分本気?

「ねぇ…どういう…」

「んー、俺が男だってこと。」

中田が男?

そんなこと分かってるけど。


「うん、中田は男だよね。」

中田の言う"男"は、あたしが思ってるのとは違うんだろうなぁ。

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