オオカミ少年。

さっきは離れんなって言ったくせに、今度は自分から離れるってどういうことよ。

離れてほしいと思っていたけど、少しだけ寂しい気がするのは、やっぱり熱のせいなんだろうか。


「…何でそんなに離れてんの?」

「とりあえず落ち着こうと思って。」


落ち着く?

今落ち着いてないわけ?


「平山は寝ていいよ。」

「中田暇にならない?」

「大丈夫。その代わり、明日までに治せよ?平山いないと学校楽しくないし。」

嬉しいことを言ってくれる。


「うん、分かった」

目を閉じたらすぐにでも寝れそうで、意識がだんだんと薄れていく中、右手に感じた暖かさ。


「おやすみ、平山」

それはきっと、中田の手の暖かさ。

…何だか今日はいい夢が見れそうな気がして、そのまま意識を手放したー…


その日はいつ中田が帰ったのか分からなかったけど、起きたら机の上にジュースとゼリーがたくさんあって、笑ってしまった。

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