オオカミ少年。
「今日は中田が休みかよー」
「あいつ平山の風邪貰ったんだって。」
「はぁ、リア充って敵だよな。」
クラスメートが笑いながら話してるのは、今日この教室にいない中田の話。
…だから移るって言ったのに。
「平山、お見舞い行ってやれば?」
「うーん、どうしようかなー。」
なんて、もう行く気満々だけど。
『どうせ行くくせに。』
クラスメートの揃った声が教室内に響いて、それに笑顔で頷いた。
リア充は敵だ、なんて言ってるクラスメートも、ほんとにウザがってるようには見えない。
「中田喜ぶよなー。」
「どうする。あいつばっかズルくね?」
「良いこと思い付いた!ちょ、平山!」
手招きされて近寄ると、中田の男友達がニヤニヤしながらあたしを真ん中に座らせた。
―カシャッ…
フラッシュと共にカメラのシャッター音が聞こえた。何これ、記念撮影?
「送ってやろー」
心底楽しそうに笑ったその友達は、少ししてあたしに携帯の画面を見せてきた。