オオカミ少年。

「今日は中田が休みかよー」

「あいつ平山の風邪貰ったんだって。」

「はぁ、リア充って敵だよな。」


クラスメートが笑いながら話してるのは、今日この教室にいない中田の話。

…だから移るって言ったのに。


「平山、お見舞い行ってやれば?」

「うーん、どうしようかなー。」

なんて、もう行く気満々だけど。


『どうせ行くくせに。』

クラスメートの揃った声が教室内に響いて、それに笑顔で頷いた。

リア充は敵だ、なんて言ってるクラスメートも、ほんとにウザがってるようには見えない。


「中田喜ぶよなー。」

「どうする。あいつばっかズルくね?」

「良いこと思い付いた!ちょ、平山!」


手招きされて近寄ると、中田の男友達がニヤニヤしながらあたしを真ん中に座らせた。


―カシャッ…

フラッシュと共にカメラのシャッター音が聞こえた。何これ、記念撮影?


「送ってやろー」

心底楽しそうに笑ったその友達は、少ししてあたしに携帯の画面を見せてきた。

< 135 / 152 >

この作品をシェア

pagetop