オオカミ少年。
「何だろうね。」
『あー、もう。俺学校行けばよかった…』
「中田熱あるんでしょ?ごめんね、あたしのせいで。」
『いや、平山のせいじゃねぇよ。俺が勝手に行ったんだし、明日には治ってるって。』
その中田の言葉と同時くらいだった。あたしの携帯は後ろにいた中田の友達に奪われた。
「あ、中田ー?今から平山ちゃんがお前の家行くから、見つかったらマズイものは隠しとけよー。」
「マズイもの?」
隣にいたあたしがそう言うと、携帯を持ってる人とは別のクラスメートが言った。
「平山ちゃん、男には色々あるんだよ。」
「ふーん、そっか。」
何だかこれ以上聞くのはマズイ気がして、聞くのをやめた。
「いいか中田、風邪が移るようなことは絶対すんなよ。」
そんなことを言って電話を切ったクラスメートが、携帯をあたしに渡して早く行くように言った。
「行ってらっしゃい、歩未。」
「行ってきます!」
あたしの友達もどこか楽しそうに言って手を振ってくる。
ほんと、みんなあたしたちのことからかいすぎっていうか。あたしたちで遊びすぎだよね。
なんて思いながらも、あたしもこの状況を少しだけ楽しんでしまってる。
それはきっと中田も。