オオカミ少年。

食べられちゃう。

咄嗟にそう思った。


「顔真っ赤。」

真っ赤にもなるよ。熱があるからって油断した。中田にはそんなこと関係ないんだって。


「風邪移るからしないけど。」

ギリギリまで近づいた顔は少しズレて、おでこに柔らかい感触。

「ここなら大丈夫だろ。」

熱があるせいで色っぽいから、いつもより緊張して力が入らない。


「…色んな意味でオオカミ少年だよね。」

「バーカ、何言ってんだよ。俺ほどの純粋はそういねぇって。」

積極的なのは熱があるせいかな。


「はいはい、分かったから。早めに寝てよ、治らないでしょ。」

「おやすみ、平山。」

「うん、おやすみ、中田。」


笑顔だった中田は目を閉じてすぐに寝息をたてて寝始めた。寝てると子供みたいで可愛いのになぁ。

寝てる中田を見てるとあたしまで眠くなってきて、手を握ったままベッドに伏せた。

中田の手の暖かさを感じながら、夢を見た。中田とあたしが楽しそうに話してる、とても幸せな夢。

中田、早く治して学校に来てよ?

中田がいなきゃつまらないんだから!

【END】

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