オオカミ少年。
イケメン彼氏。
【愛してるよ。】
女の子が好きそうな、低音ボイス。
ものすごく整った顔立ちは、少しだけはにかんで友達の顔を見つめていた。
………画面の向こうから。
「…何これ。」
「歩未知らないの!?最近流行ってるアプリ!」
流行ってるアプリ?
興奮したように画面をあたしに向けると、「カッコいいでしょ?」なんて言って頬を赤らめてる。
「…現実見てよー。」
「見てるわよ、これはちょっとした息抜きなの。現実じゃこんな甘ったるい経験出来ないからねー。」
隣で嬉しそうに携帯をつつく彼女には、ちゃんと現実に人間の彼氏がいるんだけどなぁ。
「歩未もダウンロードすれば?」
「あたしはいいよ。」
「あ、中田くん嫉妬するもんね。」
……アプリに嫉妬されてもね。
なんて思いながらも、決して興味がないわけじゃない。寧ろ若干やってみたいと思ってしまっている。
「でも中田くんとは違ったタイプの男の人を見てみるのもいいんじゃない?」