オオカミ少年。
「失礼しまーす…」
「おお、来たな。ったくお前らは、誰の授業か分かってあんな大声で話してたんだよな?」
「分かってますよー。先生イケメンっすから、俺この学校来て1番に先生のこと覚えましたからね!」
何言ってんの、この人。
あたしが口出しする間もなく、中田は話を続ける。
それを黙って聞いていると、鬼みたいだった先生の顔が少しずつ呆れ顔になっていくのが分かる。
最終的には先生が「もうお前ら帰れ」と言って負けた。あの鬼教師が、中田に、負けた?
「俺、最強。」
あたしの隣の席の男は、どうやらすごいやつだったらしい。
少しだけ尊敬した、ある日の出来事だった。