オオカミ少年。
「やべぇ平山っ、あそこにカッパが!」
「うそっ、どこ!?」
「嘘でーす。カッパなんて存在しませーん!」
そして騙されてしまうあたしが1番ムカつく。
カッパってな。
そんなもんいねぇよ。
「もう中田!!」
「わー、こわっ。」
「あんたあっちでしょ。早く消えなさい。」
春休みが間近に迫ったある日の放課後。
中田とあたしの家は全く逆の方向にあるのに、どうしてこの人はあたしの隣を歩いているんでしょうか。
「おいおい、消えろってひでぇなー……はぁ、俺さ、引っ越すんだ。」
「え?」
「今までありがとな。」
少し悲しそうに目を伏せて笑う中田を見てると、今まで怒ってたことなんてすっかり忘れてしまった。
引っ越すんだ…