オオカミ少年。
「チョコ食べたかったんでしょ?」
「え?…あー、うん。」
「え、違うの?」
反応が微妙だったから、多分チョコが食べたくて仕方なかったわけじゃないんだと思う。
じゃあ何で怒ってたのよ?
「俺は平山からのチョコが欲しかったんだよ。」
急に真面目な顔になった中田が、あたしを見つめる。
あぁ、これはモテるわ。
やっぱりカッコいい顔してるもん。
のんきにそんなことを考えていた。
「へぇ、そっか。」
「……え?反応薄くない?」
「何て言えばいいの?」
「…いや、何でもない。もういいや、早く帰ろうぜ。」
諦めたように項垂れて、そう言った。
当たり前みたいに一緒に帰るんだなぁ。
「チョコありがとな。」
「どういたしまして。」
中田と仲良くなって、初めて喧嘩したある日のことだった。