オオカミ少年。

「あのさ、それ中田に直接言ってもらえるかな。あたしに言われても困るんだよね。」


だってどうせ、無視したって話しかけてくるでしょ、あの人は。

1日に何回嘘つくの、ってくらい話しかけてきてるんだから、それを言うなら中田に言うべきだよ。


「何それ、嫌み?」

あれ、言い方間違えたかな。

目の前にいる女の子たちは少し怒っている。きっとあたしが気に障ることでも言っちゃったんだろう。


「違うよ。ただ、あたしに言ってもどうにもならないっていうか…」

「話さなきゃいいだけじゃん。」


あぁ、もうめんどくさい。

あたしにどうしろって言うの?


チョコなんてあげなきゃよかった。

こうなるのが嫌だったから、中田と一緒に廊下歩くの嫌だったのに。

< 31 / 152 >

この作品をシェア

pagetop