オオカミ少年。
「はいはい、分かりましたー。」
めんどくさくて適当に頷くと、女の子たちは更に怒ってあたしを睨み付ける。
「ほんとムカつく!このこと中田くんに言ったらただじゃおかないからね!」
はいはい、なんて思ってたときだった。
「俺が何?」
聞き慣れた声があたしの後ろからして、それと同時ぐらいに女の子たちの顔が強張った。
「あ…、中田」
そこにいたのは中田。
いつものニコニコした中田じゃない。
「なぁ、何してんの?」
何でいるんだろ、とか考えていたけど、そんなことよりも今はこの状況。
「何してんのって聞いてんだけど。」
いつもの中田はどこに行った?
あの嘘つきで能天気で笑顔が絶えない中田はどこに?
「あ、あたしたちは…、ただ平山さんに用があって…!」
明らかに動揺してる。その姿を見て、少しだけこの子達がかわいそうになった。