オオカミ少年。

事故チュー。

｢あの、俺平山さんのこと好きなんだけど…｣

状況が理解できてないのはあたしだけなんだろうか。それとも、中田も？


｢えぇえ？｣


あたしの目の前にいるのは、あたしの憧れの多田弘輝(ﾀﾀﾞﾋﾛｷ)くんで。隣にいるのは中田。

さっきあたしのことを好きだと言ったのは、多田くんだったような気がするんだけど……気のせいかな？


｢あ、あたし？人違いじゃなくて？｣

｢平山さんでしょ？｣

｢はい、平山ですけど。｣

｢俺、入学式のとき平山さんに一目惚れしちゃってさ。もしよかったら、付き合ってほしいんだけど…｣


あたしよりも隣にいる中田の方がポカーンとしていて、魂が抜けたみたいだった。

多田くんは中田と同じくらい人気のモテ男で、あたしなんかじゃ到底手の届きそうもないイケメンなのに。