オオカミ少年。
「……あー…」
「何、話ないならあたし向こう行くけど。」
そう言って立ち上がると、力強い中田の手があたしを引き留めた。
そのままイスに座らされる。
いつもの中田と違うから、こっちまで調子が狂ってしまって。真っ直ぐ中田を見れない。
男らしい表情が、あたしを見つめる。
「…多田に返事、した?」
何が聞きたかったのかと思えば、多田くんのことか…。まぁ確かに、中田の様子がおかしかったのはあの日からだし。
「まだしてないけど。」
「あ、そ…」
「何?」
「いや、付き合うのかなーって…」
もう答えは決まってる。
最初から決まってたのかもしれないけど。
「何でそんなこと聞くの?」
「……気になるし…」