オオカミ少年。
今にも寝てしまいそうだった。
あたしの話なんて耳に届いてないみたいで。さっきまで話してたのにどうしてこうも急に眠くなるのか分からない。
「あっちで寝たら?」
座敷の方で飲んでいた友達は、何人かもう寝てる。そっちを指差すと中田は首を横に振った。
「眠くないしー…」
「変な嘘つくのやめなさいよ。」
机に突っ伏していた体を起こした。ピョンと跳ねた柔らかそうな髪が揺れる。
少しパーマがかかった中田の髪は、女子には結構人気みたいで。茶色く染めてる割りに痛んでない。
「んー…」
触ってみたいと思った。
だから手を伸ばして触れてみる。
すると中田は、あたしが触れた途端にピクッと反応した。目がバッチリ合う。
「何…?」
「や、別に…」