オオカミ少年。
「起きろバカ!」
授業中あれだけ寝ずに絡んでくるのに、どうしてお酒を飲んだだけでこうも眠くなるのか。
……そんなこと今はどうでもいいけど。
「はい、電話して!」
「おー、サンキュー」
受け取って、どこかに電話をし始めた中田。どうやら迎えに来てもらえるみたいで。
「うん、よろしくー」
迎えに来てもらえるなら、ここで待ってるだけだし。いくら酔っぱらってるからって、1人になったら危ない、なんてことはないだろう。
あたしももう帰らなきゃ。
「じゃあ中田、あたし帰るからね」
時計を確認して、机の上を見て心の中で呆れた。いくらなんでも飲み過ぎでしょう。
鞄を持って立ち上がると、なぜか中田もおぼつかない足取りで立ち上がって。
一瞬の出来事だった。
「バイバイ、平山」
「………あ、……バイバイ…」