オオカミ少年。
ダンッ、ダンッ…
ボールが跳ねる音やシューズが擦れる音が体育館に響き渡る。
バスケが出来ないあたしは当然見ることを選択したから、さっきからみんながやってるところを眺めてるだけだった。
「いやー、楽しそうだね、中田くん」
隣に座っていた友達がふとそう言うから、自然と目がいった。あいつはいつでもとりあえず中心にいる。
楽しそうに笑う無邪気なところは子供みたいだった。
昨日の大人っぽい男の中田はどこへ行った?
「そうだねー」
「あ、興味無さそうだね。何で?」
「何でって……中田がバスケしてるとこなんて見ても何とも思わないからね」
そういえば、中学の時はバスケ部だったっけ?
確かに上手いわ。