オオカミ少年。
「いや、ないでしょ。」
「そうかな?」
「ないない。だって、友達だし」
ほら、今だって中田は、男女関係なく同じように接してて。あいつは誰にでも平等だから。
あたしのことが特別だなんて、そんなことがあるわけない。ないない。ありえない。
「でも、中田くんがあんなに絡むのって、歩未だけじゃない?」
「絡むって……中田が嘘ついてるだけだよ?」
「あたし、中田くんに嘘つかれたことないよ?しかもそんな毎日毎日、気のない女の子にちょっかいだすかなー」
ちょ……ダメだ。頭パンクする。
そんなわけない。
中田があたしを好きだなんて、そんなの100%ない。ありえない。絶対ない!!
「平山ー、俺のタオルー」
ハッとして前を向くと、こっちに走り寄ってくる中田がいて。一瞬でタオルを預かっていたことを思い出した。