オオカミ少年。
隣にはやっぱりあたしをニヤニヤしながら見つめる友達がいて、目を合わせられなかった。
何か言いたげに見つめてくるから。
「可愛い、だってー」
「…やめてよ、深い意味はないんだから」
そう、深い意味はない。
中田はあたしのことなんて何とも思ってないし、あたしも中田のことなんて何とも思ってない。
…だから、特別だってこともない。
「ふーん、あっそ」
納得してないように見えたけど、友達はそのあと、何も言わなくなった。