オオカミ少年。


「なぁ、何怒ってんの?」

「怒ってないけど」


みんなでバスケを楽しんだあと、それぞれ解散したんだけど、やっぱり中田はいつもと同じように送ってくれる。

もう怒ってない。


あたしだけ意識して気まずくなるのは嫌だから、もうあれはなかったことにしようと思って。


「楽しくなかった?」

「楽しかったけど」

「じゃあ何で不機嫌なんだよー」

「はぁー…、不機嫌じゃない。別に怒ってないし、今日もちゃんと楽しかったから。」

「ふーん…、あっそ。」


頭の後ろで手を組んで隣を歩いてる中田。


あぁ、そうか。

こういうのがダメなんだ。中田のことを好きな女の子が見ててムカつくのは、こういうのだ。

この、カップルみたいな、当たり前の行動。

気に入らなくて当然だよね。

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