オオカミ少年。

「いえ、全く。」

「えー、昨日言ったじゃん」


あたしは先生にバレないかビクビクしてるのに、中田は全く気にする素振りを見せない。

それどころか、少しだけ声が大きくなってる。

聞こえるって。


「あ、平山後ろに鬼が立ってるよ。」

「騙されるわけないでしょ!」

鬼って!あり得ないわ!


もう中田のことは無視してノートを書くために前を向いて黒板を見る。

………あれ、先生がいない。


「おい、鬼って俺のことか?」


わー、鬼だ。

鬼の形相をしたイケメン先生があたしの後ろに立っていて、中田はそれを見て笑っていた。


「あはは、先生鬼みたいっすよ。」

バカバカバカ。

そんなこと言っちゃダメだよ!

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