オオカミ少年。

「いつもの仕返しとか!」

「だからー、ないってば!」


そこまで言うと、中田はようやく信じてくれたようで。ギュッとあたしを抱き締める。


「わっ、中田痛いよー」

「俺幸せ!」


いつもと変わらない、子供みたいに無邪気な中田の笑顔。好きだと分かった途端に、ドキドキする。

そしてそれと共に、ズキズキと痛み出す膝。


「うん、あたしも幸せだけど、膝痛いかも。」


ロマンチックの欠片もない。

これは転けたあたしが悪い。


「あははっ、じゃあ、戻るか」

「どこに?」

「どこって、平山の家じゃん」

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