オオカミ少年。

「何で?」

「俺の誕生日会?ついでに平山の治療」

「あたしの治療が優先よ!」


中田らしいな、なんて思ってたら、中田は急にあたしの前にしゃがみこむと「乗って」なんて男らしいことを言う。


「重いけど大丈夫?」

「余裕!」


そう言うとあたしを軽々と持ち上げて、家がある方向へ歩き出した。


今年の中田の誕生日は、色々あってあたしたちの記念日になった。

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