オオカミ少年。
番外編
結局は好きなんです。
「なーなー平山ー」
「もううるさい!」
2年の続きのようにまた中田と同じクラスになり、おまけにまた隣の席だから、うるさくてしょうがない。
関係が変わったとはいえ、やっぱり中田は中田。授業中の中田も、今までと変わらない。
「平山さん」
少し変わったことと言えば…
「あ、多田くん」
多田くんとも同じクラスになったということ。
「ノート借りていい?黒板の文字見えづらくて」
授業中だけ黒ぶち眼鏡をかけている多田くん。席が近くなってからは、普通に話すようになった。
「いいよ、はい」
「これは俺が見んの!」
あたしが差し出したノートを横から奪ったのは、少しふてくされた中田だった。
「書かないくせに」
「今日のは書く!」
嫉妬深いというか、子供っぽいというか、誰が見たって分かるくらい明らかに多田くんを敵視してる。
…原因があたしだから何も言えないけど。