【BL】腐男子な俺の恋フラグ
だが、
「…この気持ちが薄らいで本当に槙と純粋な気持ちで接するようになれたなら…また、“槙”と呼んでも良いか?」
「会長…俺……」
今の俺からすればそんな仮想はあり得ないと思う。
だけど、コレが俺の最大の譲歩であり、最善策なんだ。
「…こんな兄貴は嫌か?」
するととうとう槙の涙腺が崩壊して俺に抱き付いてきた。…だからコレを止めろと話したばかりなのに。
でも、まぁ、今は良いか。
これからはこの温かい感触をしばらくは味わえなくなるのだから。
「…俺、会長みたいな兄貴なら…とっても幸せ者だ…」
あークソ。可愛いな、コイツは。
だがさっきから香川がずっとこちらを睨んでいるが大丈夫なのか?
まぁ、鈍感なコイツは絶対気付けないだろうし。それに香川の居るポジションは少し離れた槙の真後ろだ。だから俺からすれば正面に居る事になる。しかしそんな事は気にせず、気兼ねなく堪能するとしよう。せっかく槙から抱き付いて来てくれたんだから。
せいぜい今のうちに思う存分妬かせておこう。
「槙」
「…?」
この名前を呼ぶのも、この気持ちで呼ぶのはコレが最後だ。
そして俺は彼の耳元にとびきり甘い言葉で囁く。
「大好きだ」
「…俺も」
香川の顔がますます不機嫌になるのが分かる。
俺は、暫く笑いが止まらなかった。