【BL】腐男子な俺の恋フラグ
なーんて言えるわけがないので俺は力なく微笑むだけだった。
「?どないしはった?元気ないなー」
「そんな事ないですよ」
いかんいかん。沈んでるなんてこれでもわざわざ足を運んでくれたお客様なんだ。こちらの事情なんてもってきちゃダメだ。
「そんな事あらへんやろ。相談してみ?楽になるで」
「…優しいんですね。…こんな私にそんな言葉をかけてくれるなんて」
やっぱりこうなのだ。時間が経つほど自覚する。そんなに世の中は甘くないのだと。
午前にお客様が来店したのはキャンペーン時間でもなく、俺が午前も働いているとは思わなかったからだろう。
でも、今は違う。ハッキリと俺が働いていると分かっているから、誰も来てくれないのだ。
「槙ちゃん?そない卑屈になったらあきまへんで?何でも良いから話してみ。力になれるか分からんけど、気は楽になりはるやろ」
…俺ってバカだ。意外にこのおじさんは温かい人じゃないか。