社長と極上の生活


「そうですね。普通の初産の妊婦なら1~2週間といった所でしょうか?」


「……杏花の場合は?」


「……何とも、私では……」


表情を歪める村岡。


杏花には『普通』が当てはまらない。


予測もつかず、更に緊張が走る。


俺が大きく息を吐くと、


「とりあえず、今は杏花様の緊張を解す事が1番です」


「ん」


「身体が強張っておいででしたので、リラックスして頂く為にゆったりとお風呂に浸かって頂いております」


「ん、助かるよ」


「それと、お夕食は杏花様のリクエストで、ごまだれの冷やし中華に致します」


「ん」


「暫くは様子を見守りましょう」


「……そうだな」


杏花以外、何も出来ない……歯がゆさ。


痛みを取り除く事も


不安を和らげることも儘ならない。


俺に出来る事は、寄り添う事くらい。


遣る瀬無さが募るばかり。


杏花を村岡に任せ、


俺はゲストルームのシャワーを使う事に。

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