社長と極上の生活


デザートの杏仁を数口食べると、


「んッ……」


突然、杏花の表情が強張り始めた。


「どうした?!」


「杏花様?」


慌てて駆け寄る村岡。


俺も席を立ち、杏花のもとへ。


杏花は苦痛の表情を浮かべ、


必死に痛みに耐えている様子。


お腹の張りを確認する村岡、


そんな2人を見ながら、杏花の背中を擦って。


「杏花様?先程より、鈍痛がありますか?」


「……えっ……えぇ」


今にも消え入りそうな声で呟く杏花。


「要様、杏花様を。私は病院へ電話して参ります」


「あぁ、頼む」


村岡の慌てようからして、緊張が走る。


杏花は息を殺して、ギュッと目を瞑っている。


俺はそんな彼女の身体を擦る事しか出来ない。


数分して、戻って来た村岡は


大きな鞄を抱えていた。


「杏花様?立てますか?」


「………はい」


「ゆっくりでいいですからね?」


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