社長と極上の生活
再び、目頭が熱くなる。
親になると、こうも涙脆くなるのか?
フッ、これからは毎日が大変そうだ。
杏花だけでなく、息子にまで……。
息子の顔を覗き込むと、
「8月3日19時56分。2332g48㎝の元気な男の子です」
そう、看護師は告げた。
「キャアァ~男の子よ!!男の子ですって!!」
「コラッ!!ここは病院だぞ?小夜、静かにしなさい」
「あっ、ごめんなさい」
祖母の他愛ないやり取りで実感が湧いてくる。
この腕に抱いている子が我が子だと。
フッ、俺もとうとう父親か。
2時間程して、病室へ移動した杏花。
疲れを感じさせるも、
その表情はとても穏やかで。
祖父母と村岡と、小一時間ほど談笑し、
3人は病室を後にした。
病室には俺ら2人だけ。