社長と極上の生活
――――――自社ビルの屋上
ドアを開けた瞬間、突風のような風に襲われた。
「社長ッ!!!」
「あぁ、解ってる!!」
少し怒鳴り気味に言葉を発し、
強風に向かうように歩を進め、
屋上に駐機しているヘリに乗り込んだ。
一条で所有しているヘリコプター。
自社ビルの屋上にはヘリが駐機出来るようになっている。
去年の夏に杏花とここで花火を見たのを思い出す。
ヘッドフォンを付け、ベルトを装着すると
沢田の合図で機体が浮き始めた。
自室を出て、まだ5分と経っていない。
あっという間の出来事だが、それだけに
事の重大さがひしひしと伝わってくる。
500フィートほど上空で安定したら
そのまま機体は南西へと飛行し始めた。
そして、俺の視線に気づいた沢田は
手帳に言葉を綴り始めた。