社長と極上の生活
現場にいた資材担当の者からヘルメットと長靴を渡され
俺と沢田はその場で身に着けた。
そして、現地の業者と共に
土砂崩れに遭った現場近くへと足を運ぶ。
消防と警察の姿も多くみられ、
俺達は少し離れた仮設小屋へと移動した。
「一条社長、この度は誠に申し訳ありません。私共の監督不行き届きで…」
「梁瀬社長、今回のは天災です。どうぞ、お顔をお上げ下さい」
「本当に………申し訳ありません」
ヘリから降りた直後から、
何度も何度も頭を下げる梁瀬社長。
林業一筋の彼は、今回のプロジェクトで
山興し、村興しをしようと
それはそれは骨身削って今日まで……。
木材で有名な産地では
当然のように大手住宅メーカーが独占しており、
新規で優良な材木を独占契約するのは至難の業。
4年もの歳月をかけて、漸く……という時に……。
梁瀬社長同様、現場の雰囲気は落ち込む一方。
俺は必死に打開策を練り始める。