社長と極上の生活
俺は杏花の涙に弱い。
ってか、男は惚れた女の涙に弱い。
それが理不尽な事であろうと、涙だけは……。
「ちょっ……杏花……」
オロオロするばかりで、どうしていいのか分からない。
久々に見た杏花の涙は、嬉し涙ではなさそうだ。
って事は、俺が彼女を泣かせた訳で……。
俺は誤魔化すように強く抱きしめた。
けれど、彼女の涙は止まらない。
止まるどころか、呼吸もままならない程。
そんな彼女に、
「ごめん………ごめん…………ごめん」
謝る以外思いつかなかった。
けれど、彼女はそんな俺に
「あっ……ゃまっ……るって………ことッが……どっいぅっ……ことっかッ…………わかッ……てっ………いぃっ……てッるのッ?!」
「え?」
杏花は何故か、俺の胸をグーで叩いている。
悔しそうな表情で何度も、何度も、何度も。
謝っちゃいけないのか?
意味解んねぇぞ??
嗚咽にも似た泣き声は既に限界のようで
真面に呼吸すら出来ていない。
そんな彼女の両手をギュッと掴み、彼女の行動を制止した。
そして、