社長と極上の生活


「落ち着けって」


「ッ?!………落ち着いてなんて………られないわよッ!!」


正気を失ったかのように、怒りに満ちた表情を。


悲しみの次は悔しさを露わにし、


そして今、怒りに満ちた表情に変った。


泣き顔で俺の顔を睨んでいる彼女は


俺の胸元のパジャマをギュッと掴んでいる。


瞳の奥は悲哀に満ちあふれ、それを隠そうと


怒りをぶつけて来ているかのようにも取れる。


育児疲れは精神の崩壊を招くとも聞いた事がある。


もしかして、杏花もストレスが溜まっているのか?


そんな事を考えていると、


「もう………愛してくれないの?」


「へ?」


今のは幻聴か?


またまた意味不明な事を言ったぞ?


「私は………斗賀の………ママでしかないの?」


「ん?」


「私は、どうしたらいいの?………お願い、教えて?」


「ちょっと、待った。………言ってる意味がサッパリ解んねぇんだけど?」


「………」


「………杏花?」


脳内を物凄い速さで彼女の言葉が駆け巡った。


< 191 / 337 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop