社長と極上の生活
「杏花は斗賀のママだし、俺の妻だし、杏花は杏花だろ?」
「………」
「………杏花?」
見つめ合う瞳は何かを言おうとしている。
「ん?………杏花」
俺は心の奥から語りかける。
彼女から本心を聞く為に……。
暫く無言で見据えていた杏花だが
意を決したのか、深呼吸して口を開いた。
「さっき、『ごめん』って言ったよね?」
「あぁ、言ったな」
「それって、どういう意味?」
「どういうって………」
真剣な眼差しを向けられると、
何て言っていいのか言葉に困る。
けれど、杏花は俺の心の中を覗きたいと、そう思った。
だから、俺は心のままに素直に言葉を綴る。
「仕事にかまけて育児を放棄してごめん。疲れている杏花を労わってやれなくてごめん。『早く帰る』と約束したのに、それさえも守れずごめん。仕事の事で心配をかけてごめん。甲斐性が無さ過ぎてごめん。そんな俺だから、杏花を泣かせてごめん。………謝る事だらけで、言い訳しか出来ずにホント……ごめん」
俺の言葉に唖然とする杏花。
先程までの怒りは治まったようだが、まだ表情は暗いまま。
「一生大事にすると誓ったのに、仕事を最優先してごめん。ホント、情けなくて……」
俺は顔向け出来ず、俯き加減になると