社長と極上の生活
先日、要から聞かされた『一条の嫁としての仕事』
3週間後に公の場に出向く事が決まっている。
出産後初の公の場。
要は『無理しなくていい』と言ってくれてるけど、
けれど、逃げてばかりはいられない。
例え、私がそういう場が苦手だとしても……。
要の隣りに立ちたいと願う女性は沢山いる。
結婚して暫く経った頃、
一条本宅で仕事をしていた時に聞かされた事実。
要には数十件にも及ぶ縁談があったのだとか。
そんな事、要は一言も言わなかったし
勿論、そんな素振りも見せなかった。
もしかしたら、そういった縁談で結婚した方が
要は良かったのかもしれない。
大勢の前に立つ事に慣れていない私より、
気品を兼ね備えた場馴れしている女性の方が……。
でも、でもね、
要が選んでくれたのは『私』
それに、斗賀が生まれた今、
もう、うやむやには出来ない。
『一条の嫁』として『要の妻』として、
背筋を伸ばして隣りに立ちたい。
だから、私は―――………―――