社長と極上の生活
「杏花!!」
コンクリートと鉄筋で埋め尽くされた空間に
突然、聞き慣れた声が響き渡った。
「要?仕事で外出してたの?」
私のもとへ駆け寄ってくる彼に声を掛けると、
「何処かに出掛けるのか?何しに?何処へ?体調は大丈夫なのか?…ん?村岡、どうなんだ?!」
――――始まった。
要の超心配性の溺愛っぷりが。
私が3度の流産危機に見舞われたから
心配したくなる気持ちも分からなくない。
けれど、彼の心配は少し異常な気が…。
「沢田、これからの予定は?」
「特にございません。明日の午前中までに決済すべき書類がございますが、今日中で無くとも大丈夫です」
「よし!!杏花、俺が外出に付き合う」
「えっ?」
「村岡は自宅で留守中を頼む」
―――――ほらね?
要の独断で話が進んで行く……。