社長と極上の生活


着替え持参で来た私は、先生の指示通り


カジュアルな服装に着替えた。


すると、


「では、杏花さん。これを履いて頂けますか?」


目の前に差し出されたのはヒールが5㎝程のパンプス。


言われるままに足先を入れると、


「では、私の後について真っ直ぐ歩いて下さい」


「はい」


先生は15㎝程の白いラインの上をとても上品に歩き出した。


背筋がスッとしているのにとても柔らかく。


あっという間に10mくらい先の壁際まで歩いてしまった。


「どうしました?」


「あっ、はい、すみません」


壁際で踵を返した先生に向かうように歩き出す。


けれど、先生が一挙手一投足を見ているかと思うと


とても自然には歩けない。


何だかぎこちない歩き方になってしまった。


「緊張してますか?」


「あっ………はい、とても」


恥かしさのあまり、顔が熱くなるのが分かる。


それを隠そうと俯くと、


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