社長と極上の生活


要がそんな風に思っていてくれただなんて嬉し過ぎる。


女冥利に尽きるわよね。


私はこの人の妻として、至らなさ過ぎる。


『妻』としての自覚だって、つい最近芽生えたばかり。


愛して貰う資格など無い。


優しく抱きしめられる腕の中で改めて決意した。


――――――――一生この人について行こう!


人って、何かやりたいなぁと思っても


結局はモヤモヤ・あやふやになったりして、


思い描いたモノに辿り着けなかったりする。


だけど、大切な人の為や守りたい人の為に


未知なるものにでも挑戦出来るのは


そこに『愛』があるから。


そして、その愛がある限り、人は誰でもやり遂げられる。


私は『夫』の為に、


もっともっと素敵な『妻』になると決めた。


………この人の腕の中で幸せを感じたいから。


私のこめかみに彼の唇がそっと触れた。


いつもながらにとても優しく。


ついつい『もっと』って欲張ってしまうが、


私の視界に入ったそれに、


そんな甘い雰囲気は一瞬で冷めた。


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