社長と極上の生活
翌日から覚悟していた怒涛の日々が……。
レッスンは美術館や博物館の鑑賞の仕方に始まり、
観劇の仕方や買い物の仕方に至るまで。
ありとあらゆる場所に赴き、即実践。
常に大衆の目を意識しての実践訓練。
更にフラワーアレンジメントやテーブルコーディネートの仕方や
パーティーを主催企画する際のメニュー立てに至るまで
通常のレッスンでは無い事までフルコースで組まれていた。
そして、数日後に『一条 要の妻』として『一条の嫁』として公の場に立つ。
日に日に緊張は増すが、弱音は吐いてはいられない。
私はレッスンスタジオの和室で最終レッスンを受けていた。
畳の上に並べられた着物と帯と和装小物。
先生はそれを手にして、優しい笑みを浮かべている。
「杏花さん、聞かせてくれるかしら?」
「はい?」
「何故、和服を?」
「あっ……それは…………」
本来はレッスン内容に『着つけ』は無い。
だけど、和服で出席する場があるのは知っている。
通常は着付けやヘアメイクの専門の方にお願いするらしいのだけど、