社長と極上の生活
―――――12月第3日曜日
とうとう来てしまった例の日。
本当にあっという間の3週間だった。
どう足掻いたって逃げる事は出来ない。
ううん、そんな事、鼻からするつもりも無い。
出来る限りの事を遣り尽くしたんだから後悔は無い。
堂々と胸を張ってすればいい。
自分に言い聞かせるように鏡の中の自分を見つめた。
「杏花」
「はい、何か忘れ物?」
「あ、いや。向こうで待ってるからな」
「うん」
今日は一条ホールディングス主催の
クリスマスチャリティーイベントが催される。
世の中はクリスマスで盛り上がる中、
一条の社員は多くの人々に幸せを運ぶ。
一条は他業種を扱っている為、
その業種独特のサービスをそれぞれに振る舞う事になっている。
私の経営するカフェもまた、そのイベントに参加。
巨大特設テントの入口で無料の珈琲を配る。
要はイベントの企画責任者として本部席にいるという。