社長と極上の生活
「あっ……」
杏花の声に手先が反応するように停止する。
すると、ポコポコと勢いよく蹴り始める我が子。
「元気いいな」
「ん、パパがしてくれてるから喜んでるんだね」
「フッ、そうかもな」
「きっと、ヤキモチ妬きの女の子じゃない?」
「そうか?」
「そうだよ、きっと」
にこやかに微笑む杏花。
俺らは産まれて来るまで
性別を聞かないと心掛けている。
楽しみは後にとっておくもの。
「俺は男だと思うけど」
「何で?」
「俺が毎日、杏花の身体を撫で回してるから、ヤキモチ妬いてんじゃないのか?」
「えぇっ~?」
2人して目を見合わせ、プッと噴き出す。
「どっちにしたって、ヤキモチ妬きは決定だな」
「フフフッ……そうかもね?」
温かい優しい時間が俺らを包み込んだ。