社長と極上の生活
8 りんご+斗賀=最強コンビ
2月中旬、米国から帰国する機内で。
日本は、一年で一番寒さが厳しい季節。
そして、俺の仕事もますます拍車が掛かり
最愛の妻・杏花と愛息子・斗賀と顔を合わせるのもごく僅か。
一週間の海外出張から戻り、
数時間滞在して、再び海外に出張なんて事もしょちゅう。
その数時間の滞在だって、
会社に顔を出し、外せない仕事をこなして
更に本宅で業務報告をする等、ほぼ仕事尽くめで。
俺の帰国時間を見計らって、
空港に出迎えに来たり、見送る僅かな時間しか2人に逢えない。
俺は一条を背負う立場だから簡単には弱音は吐けない。
無論、俺が弱音を吐かないのだから沢田もまた然り。
杏花は、実家が遠方にあるから簡単に帰省する事も出来ず、
初めての育児でストレスが溜まってるんじゃないかと気が気でない。
本当ならずっと傍にいて彼女を助けたい。
それに、父親として斗賀と接したい。
そして、何より
俺が2人に逢いたくて
杏花を抱き締めたくて………限界のようだ。
「聡。…………俺、限界みたいだ」